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仮面城(日文版)-第8部分
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びんのなかの手紙
近よって、見れば見るほど気味悪いのがこの汽船だった。
どこからどこまでもまっ恰ⅴ蕙攻趣摔窑毪à朦い旗、甲板には人影もなく、シ螭趣筏氦蓼辘à盲皮い毪趣长恧稀ⅳ蓼毪扦帷钉饯Α罚健钉筏筏未撙郡い扦ⅳ搿4à巳氦椁毳猊幛扦丹à狻ⅳ长未韦郅趣辘摔稀菸稅櫎盲啤⒔膜椁踏瑜Δ艘姢à俊
三太は軽く口笛を吹きながら、ぶらりぶらりと、船のそばを通りすぎたが、べつにかわったこともない。
三太はつまらなそうな顔をして、クルリとかかと[#「かかと」に傍点]をかえすと、あいかわらず、軽く口笛を吹きながら、船尾のほうへひきかえしてきたが、そのときだった。
ボシャンという物音とともに、水のなかへ投げこまれたものがあった。見ると牛乳のあきびんである。あきびんはそのまま流れもせず、いかりをつないだくさりのそばに、ぷかりぷかりとういているのだ。
三太はハッとして、あたりを見まわした。びんのなかになにやら白いものが、はいっていることに気づいたからである。
幸い、船の上にも岸ぺきにも、ひとのすがたは見あたらない。三太はすばやく上着、ズボンをとると、岸ぺきから身をすべらせ、音もなく、くさりのそばに泳ぎついた。そして、牛乳のびんをひろいあげると、また岸ぺきへ泳ぎ帰って、すばやく上へはいあがった。
それはひじょうに思いきった、だいたんな行動だったが、幸い、船の上ではだれもそれに気づいた者はなかった。
三太は手早くからだをふき、ズボンと上着を身につけると、牛乳のあきびんをポケットにしのばせ、小走りに、自動車のほうへ帰ってきた。
「どうした、どうした、三太、なにかあったのかい?」
「うん、変なものをひろってきたよ。ほら、このあきびん……なにかなかにはいっているんだ」
「どれどれ」
吉本哕炇证证摔趣盲皮撙毪取ⅳ婴螭韦胜摔膝膝螗沥韦瑜Δ胜猡韦悉い盲皮い搿¥筏狻ⅳ饯违膝螗沥摔悉蓼盲饰淖证恰ⅳ胜摔浃闀い皮ⅳ毪椁筏ぁ
吉本青年はあわててコルクのせんをこじあけると、なかからハンカチをとりだしてひらいて見たが、そのとたん三太も吉本青年も、アッと顔色をかえたのだった。
[#ここから1字下げ]
わたしは悪者につかまって、この船のなかにとじこめられています。このあきびんをひろったひとは、どうかこのことを警察へとどけてください。
[#ここで字下げ終わり]
[#地から2字上げ]竹 田 妙 子
それはいたいたしい血の文字だった。たぶんヘヤ豫螭韦丹搜颏膜堡啤⒁蛔忠蛔证郡螭亭螭藭い郡韦坤恧Δⅳ趣长恧嗓长恧摔袱螭坤辍ⅳ工欷郡辘筏皮い毪韦い郡蓼筏ぁ
三太はくちびるをふるわせて、
「吉本さん、吉本さん、たいへんです。これは文彦くんのおかあさんにちがいありません。文彦くんのおかあさんも、あの船のなかにとじこめられているのです」
「よし、三太、早く自動車にのれ。これからすぐに警察へいこう」
「いや、ちょっと待ってください。ぼくはここであの船を見張っています。吉本さん、あなたはこれからすぐに、浅草の枺紕訾丐窑à筏啤⒌取┝郡冉鹛镆桓壬恕ⅳ长韦ⅳ婴螭颏铯郡筏皮坤丹ぁ¥盲趣蓼坤饯长摔い毪人激い蓼工ⅳい胜盲郡榫晭丐丐い盲皮撙皮坤丹ぁ
「三太、三太、そんなことをいわずに……」
「いいえ、だいじょうぶです。吉本さん、早く……早くいってください」
吉本青年がいくら口をすっぱくしてすすめても、三太はがんとして聞きいれない。吉本青年はしかたなく、三太をひとりそこに残して、浅草へひきかえしたが、ああ、あとから思えば、吉本青年はむりやりにでも、三太を連れて帰ればよかったのだった。たったひとりあとに残ったがために、三太がそれからどのような冒険をしなければならなかったか……しかし、それはもっとあとでお話しすることにしよう。
宝石王
話かわって、こちらは枺紕訾扦ⅳ搿
気味悪い老婆にひかれていく、父のすがたを見た香代子は、狂気のように階段をおり、正面玄関からとびだしたが、そのときには、老人のすがたも老婆の影も、すでにひとごみのなかにまぎれてしまっていた……。
「おとうさま……おとうさまぁ……」
香代子はまるで血を吐くように、泣きつ、叫びつ、きちがいのようにひとごみをかきわけていった。あとからかけてきた文彦が、しっかりとその肩を抱きしめて、
「だめだ、だめだ、香代子さん、おちつかなきゃあだめじゃないか」
「だって、だって、文彦さん、おとうさんが悪者のためにさらわれてしまって……」
「だから、いっそうおちつかなきゃあいけないんだ。なおこのうえに、きみの身にまちがいがあったらどうするの。さあ、ひきかえして、金田一先生や等々力警部をさがそう」
「だって、だって……ああ、おとうさま……おとうさまぁ……」
むせび泣く香代子の手をひいて、枺紕訾伪恧丐窑à筏皮毪取ⅳ丹铯猡ⅳ椁郡丹蓼盲啤ⅳ堡膜堡皮烤伽⑹殖证沥证丹郡椁筏ⅳ盲皮い俊
香代子は警部と耕助をさがしたが、すぐにふたりは見つかった。
「アッ、文彦くん、ぶじでいたか。きみのすがたが見えないので、けがでもしたんじゃないかと、どんなに心配したか知れないぜ」
金田一耕助のことばも聞かず、
「先生、たいへんです。このひとのおとうさんが悪者にさらわれたんです」
「このひとのおとうさん……?」
「そうです、そうです。このひとは大野のおじさんのお嬢さんで、香代子さんというのです。ほらきのうもお話ししたでしょう」
「おお、そ、それじゃ、大野老人が……」、
金田一耕助は、ハッと警部と顔を見合わせた。
「そうです。そうです。おじさんを連れていったのは、魔法使いのようなおばあさんです。先生、おじさんを助けてあげてください」
「おじさま、おとうさまを助けて……」
香代子も涙をいっぱいうかべてたのみこんだ。
そこで警部はもう一度、ふたりに話をくりかえさせると、すぐに警官たちを呼びあつめて、付近を眨伽丹护毪长趣摔胜盲俊¥筏贰ⅳい蓼趣胜盲皮嗓螭胜摔饯谓蛘{べたところでなんの役にも立ちそうもない。大野老人はそのころすでに自動車にのせられて、遠くへ連れ去られていたのだから。
それはさておき、等々力警部と金田一耕助、それから文彦と香代子の四人がひたいをあつめて相談しているところへ、
「おやおや、警部さん、なにがあったのですか」
と、声をかけた者があった。一同がびっくりしてふりかえると、そこに立っているのは、五十歳くらいの、白髪の、美しい、上品な老紳士だった。警部は目を丸くして、
「あ、あなたは加藤宝作老人……」
加藤宝作……と、名まえを聞いて金田一耕助は、思わず相手の顔を見なおした。
ああ、それではこのひとこそ、世界的な宝石王とうたわれた宝作老人なのか。そして、きのう新宿のホテルで、銀仮面のためにまんまと六個のダイヤをぬすまれたのは、この老紳士だったのか。なるほど、そういえば、宝石王の名にふさわしい、ふくぶくしい顔をしている。
「加藤さん、あなたはどうしてこの劇場へ……」
警部があやしむようにたずねると、宝作老人は顔をしかめて、
「それについては警部さん、ちょっとみょうなことがあるんですよ。見てください。この手紙……」
宝作老人はポケットから、しわくちゃになった一通の手紙をとりだしたが、ちょうどそのころ、吉本青年の自動車は、枺紕訾颏幛钉筏啤ⅳ蓼盲筏挨椁俗撙盲皮い郡韦坤盲俊
それにしても、宝作老人のとり出した手紙には、どんなことが書いてあったのだろうか。
ダイヤの少女王
等々力警部は宝作老人のさしだした、手紙をうけとると、一同に読んで聞かせた。
「新聞で拝見しますと、ご所望の大宝冠を、伽问证摔Δ肖铯欷胜工盲郡饯Δ恰ⅳ蓼长趣摔獨荬韦嗓舜妞袱蓼埂¥趣长恧撙绀Δ胜い丹膜椤ⅳ饯未蟊冥悉铯郡筏问证摔悉い辘蓼筏俊¥猡筏慈胗盲胜椁小ⅳ妞氦辘筏皮猡瑜い人激い蓼埂1救瘴玑崛龝r、浅草の枺紕訾稳毪昕冥蓼扦い扦坤丹ぁ¥铯筏い挙稀ⅳい氦欷郡摔盲啤4笠敖∈iより、加藤宝作さま。……なるほど、この手紙をうけとったので、あなたはここへこられたんですね」
「そうです、そうです。それでわたしはさっきから、大野というひとをさがしているんです」
「金田一さん、あなたはこの手紙をどうお思いですか?」
警部にきかれて、金田一耕助は、ふしぎそうに小首をかしげた。
「変ですねえ。ぼくの考えはまちがっていたのかな。この手紙がほんとうだとすれば、大野老人は銀仮面の一味かも知れませんね」
「うそです。うそです、そんなことうそです」
言下にそれをうち消したのは香代子である。
「おとうさまが銀仮面の一味だなんて、そんな、そんな、そんなばかなことはありません」
香代子はくやしそうに、目に涙をうかべていた。等々力警部がそれをなだめて、
「お嬢さん、あなたはまだ子どもだから……」
「いいえ、いいえ、子どもでも、それくらいのことは知っていますわ。あの大宝冠は、もともと、あたしのうちからぬすまれたんです」
「な、な、なんですって!」
金田一耕助は顔色をかえて、
「そ、それじゃあれは、おとうさんのものだったの? おとうさんは、しかし、あんな貴重なものをどこから手にいれたの?」
「ちっとも貴重じゃありません。あんなもの、いくらでもありますわ」
「いくらでもあるって! あんな大きな、傷のない、りっぱなダイヤが!」
宝作老人もびっくりして、目を丸くしている。香代子は顔色もかえずに、
「ええ、ありますわ。おとうさんは、ここにいらっしゃる文彦さんにも、黄金の小箱をさしあげましたが、そのなかにも、大宝冠にちりばめてあったのと、おなじくらいの大きさのダイヤが、六つはいっていたはずなんです」
一同は思わずだまって顔を見合わせた。
ああ、この少女は気がくるったのではないだろうか。何十儯⒑伟賰|という値うちのある宝石をまるで石ころみたいに思っているのだ。それともそこに、なにか大きな秘密があって、この少女こそ、西洋のおとぎ話にでてくるような、ダイヤモンドにうずまっている、小さな女王さまなのだろうか。
吉本哕炇证⑷摔郡韦蓼欷啤|都劇場へかけつけてきたのはそのときだった。
吉本哕炇证稀ⅳ工挨摔猡袱悚猡袱泐^の金田一探偵を発見した。そして牛乳のあきびんと、血ぞめのハンカチをだしてわたすと、手短に、三太の冒険を報告した。
「な、な、なんだって! そ、それじゃ越中島の怪汽船のなかに大野老人や文彦くんのおかあさんが……よし、け、警部さん!」
いうにはおよばぬと等々力警部は、大急ぎで自動車のしたくをさせると、
「加藤さん、あなたはあとで、もう一度、警視庁のほうへきてください。いずれ、ゆっくりご相談しましょう」
と、いうことばもいそがしく、宝作老人をひとり残して、一同ははや出発していた。越中島めざして、まっしぐらに……。
無線通信
話かわって、こちらは怪汽船、宝石丸である。
この宝石丸は大きさこそ、それほどではないが、船のなかにはりっぱな無電室があって、いま無電技師が一心ふらんに、どこからか、かかってきた無電を受信していた。
やがて、受信がおわると、無電技師はさっそく、ほんやくにかかった。どうやら無電は、暗号でかかってきたらしいのだ。
ところが、そのほんやくがすすむにしたがって、技師の顔には、しだいにおどろきの色がふかくなっていった。やがてほんやくがおわると、技師はそれをわしづかみにして、無電室からとびだした。
無電技師がやってきたのは船長室である。ノックする間も待てぬとみえて、技師はいきなりドアをひらいたが、そのとたん、おもわずアッと、その場に立ちすくんでしまった。
それもそのはず、船長室には、大きなスト证盲皮ⅳ毪韦坤ⅳい蕖ⅳ饯违攻醛‘ブには、石炭の火がクワックワッと燃えている。そして、そのスト证握妞恕⒋笠袄先摔螭袱椁幛恕ⅳい工摔筏肖辘膜堡椁欷皮い毪韦坤ⅳ饯蝸I足は、くつもくつ下もぬがされ、ズボンもひざのところまでまくりあげられているのだ。
しかも、そのいすのうしろに立っているのが、あの気味の悪い老婆なのだった。老婆は鋭い声でなにかいいながら、じりじりと、いすをスト证韦郅Δ丐妊氦筏皮い盲俊¥饯韦郡婴恕⒋笠袄先摔稀⒖啶筏菠胜Δ幛颏ⅳ菠胜椤I足をバタバタさせるのだ。
わかった! わかった! この気味の悪い老婆は、こうして大野老人に、だいじな秘密を白状させようとしているのにちがいない。
ああ、なんという残酷さ。あと五十センチ、三十センチ、二十センチ……老婆がいすをまえに押せば、大野老人の両足は、いやでも、燃えさかるスト证位黏韦胜恕ⅳ悉い盲皮い韦扦ⅳ搿
無電技師がとびこんできたのは、ちょうどそのときだった。
「だれだ!」
老婆はびっくりして、いすのそばをはなれた。そのとたん、ガタンといすがうしろへずれて大野老人は、あの恐ろしい、火責めより助かった。
「なんだ、おまえか。なぜノックをしないのだ。むだんでとびこむやつがあるか!」
ああ、その声、それは老婆の声ではない。りっぱに男の声なのだ。それでは、この老婆というのは、男が変装していたのだろうか。
無電技師は、あまり恐ろしいその場のようすに、|肝《きも》をつぶして立ちすくんでしまった。
老婆は気味悪くせせら笑って、
「あっはっは、なにをそのように、みょうな顔をしているのだ。こいつあまりごうじょうだから、ちっとばかり熱いめをさせてやろうと思っていたところだ。よく見ておけ、これが裏切り者にたいする、銀仮面さまのおしおきだ。おまえも裏切ったりする
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