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仮面城(日文版)-第20部分

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 意味ありげなこのようすに、俊助はいよいよ好奇心をあおられたが、そのときちょうど、にぎやかなシンフォニ我魳Sとともに、空中大サ埂河碾懟ɑ稹护文护肖盲坡浃趣丹欷俊
 道之助はスルスルと長ばしごをのぼっていくと、やがてヒラリとブランコに飛びうつる。と同時に、場内の電燈という電燈が、いっせいに消えてまっ暗がり、そのなかにあってただ一点、道之助のからだばかりが金色の虹と浮きあがったから、満場あっと息をとめた。
 思うに、道之助のからだには、リンか、あるいはそれに似た夜光塗料がぬってあるのだろうが、暗慰崭撙喟驻い郅韦蛲陇胜椤ⅳ猡Δ恧Δ雀·ⅳ盲郡趣长恧稀ⅳい摔庥碾懟ɑ黏构獬妯D―奇とも妙ともいえぬ美しさだ。
 観客席からは、たちまちワッとあがる歓呼の声。道之助はそれにこたえて手をふると、やがて目もくらむような幽霊花火の曲芸がはじまった。
 あるいは上下に、あるいは左右に、キラキラと金色の尾をひきながらとびかう幽霊花火は、やみのそこに、あるいは一団のほのおと化し、あるいは一すじの金の矢をえがいて、おどりくるう金色のが[#「が」に傍点]! ひとびとは鳴りをしずめてこの妙技に見とれていたが、そのとき、とつじょ場内の片すみから、
「手がまわったぞ。道之助、逃げろ、逃げろ!」
 という、ただならぬ叫び声が聞こえてきたかと思うと、それにつづいて、
「道之助、おまえを逮捕する。神妙にしろ!」
 というどなり声とともに、ピリピリとやみをつんざく呼び子の音。さあたいへんだ。これを聞いた観客が、いちどにワッとそう立ちになったからたまらない。場内は上を下への大そうどうになった。
「なんでもない。しずかに、おしずかにねがいます」
「電気をつけろ。電気だ電気だ!」
「キャⅳ俊⒅堡皮ā¥栅撙膜证丹欷毪Γ 
 と、悲鳴やどなり声がいりまじって、いやもうイモを洗うような大混雑。そのなかにあって、例の幽霊花火は、しばらくじっと下のようすをうかがっていたが、やがてヒラリとブランコから飛んだとみると、スルスルとやみの空中をはっていく。どうやら丸てんじょうにはられた綱のひとつに飛びついたのである。
「それ、逃げるぞ。ゆだんするな」
 警官らしい足音が、闇のなかを行ったりきたりする。せめて電気でもつけばよいのだが、こしょうでも起こったのか、いつまでたってもあたりはまっ暗。その中を幽霊花火は、スルスルと空中をぬって三階へとびおりると、ガラス窓をけって、さっとそとへとび出した。
 あとには美罚ё婴埭Δ激螭攘ⅳ沥工螭扦い搿

     幽霊花火の正体

 その夜、浅草蔵前を通りかかったひとびとは、前代未聞の大捕物に血をわかしたのである。
 夜空にそびえる国技館の大ド啶椤⒁护郡蓼辘喂猡斡瘠趣映訾筏郡人激Δ取ⅴ单盲热思窑挝莞摔趣婴辍ⅴ庭亥呋ɑ黏韦瑜Δ恕⑽莞槲莞丐趣长恧菠皮い盲郡椁丹ⅳ郡い丐蟆8督摔悉浃袱Δ蓼盲筏辘趣ⅳ膜蓼盲啤
「やあ、あそこへ出てきたぞ。ほら、かどのタバコ屋の屋根の上だ」
「あ、あっちへ逃げるぞ。川のほうへいくぞ」
「気をつけろ。とびおりるかもしれないぞ」
 と、まるでネズミでも追いまわすようなさわぎだ。
 やがて警官の一行が屋上にすがたをあらわしたが、なにしろ相手は本職の少年曲芸師、屋上の鬼ごっこではとてもかなうはずがない。道之助は川を目ざして逃げていったが、そのうちに追っ手の数はしだいに増していく。
 警官にまじって、やじうまが四方八方からひしひしとつめよせてくるのだ。つごうの悪いことには、道之助は全身から、あの青白い燐光をはなっているのだから、かくれるにもかくれることができない。ようやく川ぞいの家まで逃げのびたものの、見れば、周囲にはひしひしと追っ手がせまっている。
 絶体絶命! 道之助は絶望的な目つきであたりを見まわしたが、ふいに身をひるがえすと、そばにあった浴場の煙突にスルスルと登り出したから、ハッと、一同かたずをのんでながめているうちに、地上何十メ去毪趣い熗护紊稀ⅳ瑜Δ浃饯韦皮盲冥螭摔郡嗓辘膜い康乐稀ⅴⅴ盲趣い﹂gもない。サア盲冉鹕昔椁颏窑い朴缣锎à丐趣婴长螭馈
「あれ、川のなかへとびこんだぞ」
 両河岸から、橋の上に鈴なりになったやじうまが、ワイワイとかけよってのぞいてみると、暗い水のなかに銀鳎Г颏窑椁幛筏胜橛兢い扦い康乐稀ⅳ浃埔护饯Δ违猢‘タ堠‘トに泳ぎつくと、ヒラリとそれにとびのって、ダダダダダダと、エンジンの音も勇ましく、波をけたてて下流のほうへまっしぐらに――それと見るなり追っ手の警官たちも、付近にあったモ咯‘ボ趣颏辘ⅳ膜帷ⅳ郡坤沥摔饯韦ⅳ趣蜃筏盲堡郡ⅳ悉郡筏剖孜菠瑜⒌乐颏趣椁à毪长趣扦郡嗓ΔD―。
 それはしばらくおあずかりとしておいて、こちらはふたたび、国技館の三階である。
 道之助が窓から外へとび出していったあとで、俊助はむらがる見物をかきわけて、美罚ё婴韦饯肖丐堡瑜盲郡⒁姢毪缺伺稀⒔瘠摔鈿萁~しそうにまっ青になっている。
「しっかりなさい、お嬢さん。あいつ、もう逃げてしまいましたよ」
「まあ、どうもありがとう」
「とにかく、出ましょう。ぼくは決してあやしいものじゃない。安心してつかまっていらっしゃい」
 と、俊助が美罚ё婴颏à啤⒐拣^から表へ出て見ると、あの捕物さわぎもおさまって、やじうまもあらかた散ってしまったあとだった。
「おじさま、どうもありがとう。おかげで助かったわ。あたし、ほんとにどうしようかと思ったの」
「なあに、そんなこと。それよりお嬢さんは、あの少年を知ってるの?」
「いいえ」
 と美罚ё婴稀ⅳ长趣肖工胜四郡颏栅护搿
 俊助はここで、さっきチラと小耳にはさんだことばを、切り出して見ようかと思ったが、いやいやそんなことをすれば、相手に用心させるばかりだ。それよりここはしんぼうして、せめて相手の住所と名まえでも聞いておいた方がいいと、早くも心をきめると、
「そうですか。ときにお宅はどちら? ひとりで帰れますか? なんなら、送ってあげようか」
「いいえ、だいじょうぶよ。おじさま、むこうに自動車をまたしてあるのよ」
「ああ、そう。では、そこまでいっしょに……しかし、さっき、つれのひとがいたようだが、待たなくてもいいの?」
「ええ、いいんです。どうせ心配なんかしやしない。あのひと、おとうさまの助手で|志《し》|岐《き》|英《えい》|三《ぞう》さんというんです」
 と、問わずがたりに話す名まえを、俊助は心のなかに記憶しながら、
「ははあ、そしておとうさまというのは?」
「|宗《むな》|像《かた》|禎《てい》|輔《すけ》といいます」
「ああ、それじゃ、あの、大学の――」
 と俊助がおもわずそう聞きかえしたとき、
「ありがとう、おじさま。ここまで送っていただけばもういいわ」
 と美罚ё婴陷Xくおじぎをして、道ばたに待たせてあった自動車にとびのった。
 夜のやみをついて走る自動車のあとを見送った三津木俊助は、なんとなく、今夜のできごとが気になってならなかったのだ。
 宗像禎輔といえばひとも知る有名な大学教授。その有名な博士と、あのサ工紊倌辘趣韦ⅳい坤恕ⅳい盲郡い嗓韦瑜Δ书v係があるのだろう。さっきチラと小耳にはさんだ会話によると、宗像博士の書斎には、道之助によく似た写真がかざってあるらしいのである。
 ――なににしてもふしぎな話だが、それにしても道之助とはいったい何者だろう。さっきの捕物さわぎはどういうわけだろう。そうだ。それからまずたしかめておかねばならない。
 と、そこでもう一度国技館へとってかえした俊助は、だしぬけにポンとうしろから肩をたたかれて、あっとおどろいた。
「ああ、あなたは由利先生」
「三津木君、いいところで会ったね。じつはさっき、君の社へ電話をかけたのだがね」
 と、ニコニコ笑っているのは、白髪で見るからに子供っぽい顔をした紳士である。
 いったいこの紳士は何者かというと、これこそ由利先生といって世間でだれ知らぬ者はない名探偵、そして新聞記者の三津木俊助とは師弟もただならぬあいだがらなのである。
「じつはね、|等《と》|々《ど》|力《ろき》警部から電話があって、かけつけてきたのだよ」
 等々力警部というのは、警視庁きっての腕利きだが、これまた由利先生の弟子にあたる。
「すると先生は、こんやのこの捕物を、あらかじめごぞんじだったのですね」
「ふむ、知っていたよ。だからきみにも知らせてやろうと思って電話をかけたのだ」
「それで、栗生道之助とは何者ですか」
 俊助はおもわず声をはずませた。
「じつはね、三津木君。このことはまだないしょだが、きょう警視庁の等々力警部のもとへ無名の投書がまいこんでね。それではじめてわかったのだが、道之助こそいま世間をさわがせているどくろ[#「どくろ」に傍点]指紋の怪盗だというんだよ」
 聞くなり俊助は、あっとばかりにおどろいた。

     鏡にうつる影

 俊助がなぜそのようにおどろいたか、またどくろ[#「どくろ」に傍点]指紋の怪盗とは何者か、それをお話しするためには、ぜひともちかごろ枺─颏丹铯护皮い搿ⅳⅳ喂质录韦长趣蛘h明しなければならないだろう。
 そのころ、枺┒济瘠稀⒄宀幻鳏喂值沥韦郡幛恕⒖植坤韦嗓蟮驻摔郡郡长蓼欷皮い俊¥ⅳ毪趣贤夤胃吖伽厥iする宝石類がうばわれた。またあるときは、有名な実業家を道に待ちぶせて、所持品ぜんぶをうばいとっていったものがある。そのほか、この怪盗のしわざをいちいちお話しすれば、それだけでもゆうに一篇の小説ができあがるくらいだが、しかも犯人の正体はぜんぜんわからない。風のようにきて、まぼろしのように去るというところから、はじめはまぼろし[#「まぼろし」に傍点]の伽群簸螭扦い郡ⅳ饯韦Δ沥摔撙绀Δ适聦gが発見された。
 この怪盗が仕事していったあとには、いつもきまって、名刺がわりででもあるように、指紋がひとつ残してあるのだが、問睿悉长沃讣yなのである。

※[#ここに指紋の画像「kamen。png」]

 諸君、ためしにじぶんの指紋を眨伽埔姢郡蓼ā¥饯长摔悉窑趣摔瑜盲菩韦长饯铯盲皮い毪ⅳ栅膜Δ窑趣膜韦Δ氦蓼蓼い皮い毪韦虬k見するだろう。ところが、問睿沃讣yにかぎって、一本の指のなかに、三つのうずまきがかさなっているのである。まず、二つのうずまきが左右にならび、その下に第三のうずまきがついているという、じつに奇怪ともなんともいいようのないお化けの指紋、指紋学上でもかつて例のない異常指紋なのである。しかもそのかっこうが、まるでどくろが歯をむきだして、あざ笑っているように見えるところから、だれがいいそめたかどくろ[#「どくろ」に傍点]指紋!
 さてこそ、ちかごろではどくろ指紋といえば、泣く子もだまるといわれるくらい枺┒济瘠丝证欷椁欷皮い毪韦坤ⅳ饯欷摔筏皮猡ⅳ蔚乐倌辘ⅳ饯毪伽值沥扦ⅳ恧Δ趣熄D―。
 話かわってこちらは美罚ё婴馈
 ちょうどそのころ、美罚ё婴悉郡坤窑趣辍丹ひ沟坤巫詣榆嚖摔妞椁欷皮い郡ⅳ趣膜激蟆ⅴ绁盲趣筏郡瑜Δ四郡蛞姀垽盲俊¥啶辘猡胜ぁ%啸氓撺椹‘にうつっている哕炇证晤啢い膜猡韦窑趣趣悉沥Δ韦扦ⅳ搿
 美罚ё婴膝骏郡栅毪à胜椤ⅳ饯欷扦獯螭姀垽盲磕郡扦い盲筏螭绥Rのなかを見つめている。目をそらそうとしてもそらすことができないのだ。と、ふいに見おぼえのある顔が、ハッキリと鏡のなかにあらわれたが、そのとたん、美罚ё婴悉猡铯亥ⅴ盲冉肖螭馈
 あの少年――『幽霊花火』の道之助なのだ。美罚ё婴稀ⅳ胜摔いΔ趣筏郡沥婴毪栅毪à粕訾胜ぁ¥工毪如Rのなかの顔がニッコリ美しい微笑をうかべた。思いのほかひとなつっこい微笑だった。
「お嬢さん、びっくりさせてすみません。あなたのようなかたを、おどろかせるつもりじゃなかったのですが……どうかかんべんしてください」
 ことばもていねいだったし、おどかすような眨婴猡胜盲俊C婪'子はいくらか恐怖もうすらぎ、
「あなたは、いつの間にこんなところへ?」
「じつはさっき、おまわりさんに追っかけられて、隅田川へ飛びこんだのですが、さいわいそこにモ咯‘ボ趣ⅳ盲郡韦恰ⅳ饯欷藖って川下へ逃げ出した――というのはおもてむき、そのとき、ぼくは胴着をぬいで、それをハンドルへかぶせておいたのです。ほら、あなたも知ってのとおり、ぼくの胴着はやみのなかでもキラキラ光るでしょう。だからおまわりさんたちは、ぼくがモ咯‘ボ趣藖っていると思って、一生けんめいに追っかけていったのです。そのあいだに、ぼくはまた水のなかをくぐって、国技館のそばへ引返してくると、そこにあった哕炇证韦い胜ぷ詣榆嚖韦胜丐猡挨辘长摺ⅳ工盲赀ちゃんになりすましたというわけです。ハハハハ、いまごろはおまわりさん、だれも仱盲皮い胜ぶ郅颏啶沥澶Δ摔胜盲谱筏盲堡皮い毪长趣扦筏绀Δ琛
 道之助はいかにもおもしろそうに笑っている。美罚ё婴悉饯卧挙蚵劋い皮い毪Δ沥恕ⅳ筏坤い丝植佬膜猡Δ工椁い恰ⅳà盲埔环Nの親しみさえかんじてきた。
「それで、あたしをどうするの?」
「そうですね。お宅の前でだまっておりていただければいいのですがね」
「もし、あたしがいやといったらどうするの。おまわりさんに、助けてえ谩ⅳ冉肖螭坤椁嗓Δ工毪巍
 道之助は、またカラカラと愉快そうに笑った。
「だいじょうぶ。きみはそんな意地の悪いひとじゃない」
「だって、あなたは、おまわりさんに追われてるんでしょう? あたしそんなひと、助けたくないわ。かかり合いになっちゃいやだわ」
「お嬢さん、もういちど、ぼくの顔をよく見てください。ぼくがそんなわるい人間に見えますか」
 
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